83歳の現役マッチョ

83歳の現役マッチョ

インタビュー
岩手県パワーリフティング協会 最高顧問 岩崎 実さん
岩手県パワーリフティング協会 最高顧問
岩崎 実さん
(83)

● 努力するほど記録が伸びる喜び

 今年1月に千葉県で開催された「第24回ジャパンクラシックベンチプレス選手権大会」。鍛え上げた筋肉で85kgのバーベルを挙げ「マスターズV男子66kg級」で優勝を果たした北上市の岩崎実さん。「アジアベンチプレス選手権大会(2013・フィリピン)」や「アジア&オセアニアベンチプレス選手権大会(2014・メルボルン)」など国内外の大会で頂点に立つ、岩手が誇るベンチプレッサーです。

 水泳選手として市や県の大会で活躍してきた岩崎さんは、筋力トレーニングの一環として60歳でベンチプレスを始めました。「泳ぐための筋トレだったのが、周りの人より挙げられるようになると面白くなって。初めて100kg挙げたのは64歳だったかな」。そのパワーに驚いた岩手県代表選手の勧めで、65歳で初めて大会に出場しました。以来、年齢を重ねながら記録を伸ばし、70歳で出場した「全日本マスターズベンチプレス選手権大会」では110kgを挙げて見事優勝。翌年には「マスターズⅥ66kg級」の日本新記録を樹立し、8カ月後に自身の記録を塗り変えるという偉業も。経験豊富な岩崎さんを慕うベンチプレッサーも多く、後輩の指導にも当たります。水泳選手としても現役で、大会前の数日間練習するだけで市の大会ではほぼ優勝とのこと。「ベンチプレスで鍛えた上半身の筋肉があるから、パワーで泳げる」と岩崎さん。水泳もベンチプレスも、記録が伸び、努力の結果が見えることが、厳しいトレーニングを続ける原動力になっています。

● 100kgを挙げて世間を驚かせたい

 奥さまと一緒に、毎朝約1時間の散歩をするのが日課となっている岩崎さん。朝食は、納豆と野菜たっぷりの味噌汁で大豆タンパク質を摂取。週に6日はスポーツクラブに通い、1時間半のトレーニングで汗を流します。効率よく筋肉を育てるため、筋トレ終了後15分以内にプロテインを飲むことも20年以上続ける習慣です。「毎日1万歩以上歩くことと筋トレ、そしてバランスの良い手料理が元気の秘訣かな」と岩崎さん。「食事に気を遣ってくれる女房と一緒に育てた筋肉だね」と奥さまへの感謝を忘れません。

 ベンチプレスを続けるメリットについてお聞きすると「筋肉を育てると病気に強くなります」ときっぱり。「健康寿命を伸ばすためにスポーツを続けることは欠かせない。それを自分の体で実感している」と続けます。姿勢も良く歯も丈夫で健康そのものの岩崎さん。80歳を過ぎても、いつも通り精米所まで30kgの米袋を担ぐ力強い姿は、家族にとって頼れる存在です。「今でも95kgは挙げますよ。85歳までは現役を続けて、もう一度100kgを挙げて世間を騒がせたい」とチャレンジ精神も旺盛。「注目されると期待に応えたくてモチベーションも上がる。この先どこまでできるか、自分の将来が楽しみ」と目を輝かせます。60歳で始めたベンチプレスが、岩崎さんの人生の幅を大きく広げました。日々トレーニングを続けることが、老いの不安を感じることなく、自分自身に希望を持ちながら年を重ねる理想の生き方につながっています。

当時の久慈さんの投球写真

当時の久慈さんの投球写真

プロフィール

1940年、福岡県生まれ。中学2年で大阪に転居し、高校卒業後、明治製菓株式会社(現Meiji Seika ファルマ)に就職。新工場の設立を機に1976年に北上市に転勤。7年間の予定でしたが、岩手の自然が気に入り永住を選択。岩手山、早池峰山をはじめ東北の名山はほとんど完登。器械体操、相撲、卓球、テニス、バレーボール、水泳となんでもこなすアスリート

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