花巻温泉をもっと楽しく

花巻温泉をもっと楽しく

インタビュー
花巻温泉株式会社 取締役 総合予約部部長 川村義秋さん
花巻温泉株式会社 取締役 総合予約部 部長
川村 義秋 さん
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● 企画力と実践力で45歳で取締役に就任

 岩手を代表する大型温泉リゾート・花巻温泉。伝統を守りながら時代に合った変化を取り入れ、訪れる人に驚きや、心が踊る体験を提供しています。今年6月に取締役に就任した総合予約部部長の川村義秋さんは、プロジェクションマッピングやバラと光と音のライティングショー「HIKARIストリート」など、さまざまな驚きや体験を生み出してきた人物です。

 入社から約14年間、花巻温泉の各ホテルを渡りフロント業務に従事してきたという川村さん。「中でも松雲閣は小規模でスタッフも限られていましたから宴会、温泉の温度管理、経理と旅館運営の全てを学ぶことができる貴重な体験でした」と話します。2011年には、ウェブ戦略を強化するためブライダル事業部へ転身。しかし、2月に異動してすぐに震災が起こり、結婚式はほぼキャンセルに。被災した方の受け入れや警察の宿泊、自衛隊への大浴場の提供と非常事態の対応のサポートを行なったといいます。「震災が落ち着いて、やっとブライダルの仕事ができるようになった頃からですね、ブライズルームの新設やプロジェクションマッピングの導入など、企画を考え、実現することが楽しくなりました。そんな新しい取り組みが功を奏したのか婚礼組数も年々増えていきました」と話します。

 その後、総合予約部を兼務することになった川村さん。なぜ兼務なのか…と思いながらも、473室の客室と約30会場のバンケットを埋めるために、どう予定を立て当日を迎えるかに大変苦労したといいます。「組み方次第で売り上げを大きく左右する重要な作業で、特にインバウンドは、ツアー催行人数に達しないなどの理由で2週間前に予約が消えることも多く、エージェントの見極めやコントロールの経験が今につながっています」と話します。その後、営業部営業企画課をさらに兼務し、今年6月に45歳の若さで取締役に就任しました。

● チャンスを創り活かす環境を

 取締役就任時の心境を「身の引き締まる思い」と話す川村さん。「コロナ禍では、必死で取った予約がなすすべなく消えていく辛い思いをしました。しかし、いつも必死で頑張ってくれている仲間と、裏で花巻温泉を支えてくれている関係各社に支られていることを実感し、みんなが元気でいられるためにも、花巻温泉が元気でいなければならないと思いました」。そのために川村さんが心がけているのは、日々アップデート。「例えば、ご高齢のお客さまなどの需要増加に対応し、約90室を和室から洋室に改修しました」。人口減少を見据え、働き手を確保するためにDXや機械の早期導入も進めています。「働きやすい環境を整え従業員の満足度が向上すれば、結果的に人材の確保にもつながります。「こうして常にアップデートすることで魅力を高め、『一泊では足りなかったね、また来たいね』と多くのお客さまに花巻温泉を訪れていただき、それが花巻全体、さらには岩手全体の活性化につながれば嬉しいです」と話します。

 これまでさまざまな試みに挑んできた川村さんが大切にしているのは「その日のチャンスを逃さない」という思い。お客さまとの出会いも、社員の成長の機会も、どんな状況でもチャンスを逃さないような環境を作っていきたいと話します。「だって企画は楽しいですよ」と川村さん。自身が企画を提案し実践するチャンスをもらったように、社員が挑戦できる機会を作ってあげたいと話してくれました。今年11月にはホテル花巻に大露天風呂「花巻満天の湯」がオープン予定とのこと。社員のアイデアを魅力に変え、進化する花巻温泉の今後が楽しみです。

プロフィール

1978年、花巻市生まれ。中学で始めたバドミントンで県3位に入賞し、スポーツ推薦で岩手県立花巻農業高等学校に進学。卒業後、子どもの頃から馴染みのあった花巻温泉株式会社に入社。ホテル紅葉館、ホテル花巻、松雲閣、佳松園のフロントを経てブライダル事業部、総合予約部、営業部を兼務し今年6月取締役に就任。座右の銘は高村光太郎の「心はいつでも新しく 毎日何かしらを発見する」

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