新緑の季節を迎えて、中津川の岸辺は色とりどりの野の花に覆われています。そんな風景に溶け込んでいる深沢紅子野の花美術館は、再来年で開館30年。現在、盛岡信用金庫コレクション展が開催中(8月20日まで)で創業121年の同金庫収蔵の貴重な作品28点が展示されています。
企画展には、同金庫収蔵品の一部を並べており、普段あまり見られない作品が展示されています。みずみずしい色調の「包んだ花」(紅子)、新緑の清澄感を漂わす「木立(軽井沢)」(深沢省三)、赤光を浴びて神々しい「岩手山(赤)」(橋本八百二)、花の生命感にあふれる「花」(奈知安太郎)、圧倒的なスケールで岩肌が迫る「剣・八ツ峰」(吉田清志)など岩手の美術史を築いてきた画家の自然を愛する作品が展示されており、見応えがあります。鈴木貫爾の鋳物、小泉仁左衛門の南部鉄器、新渡戸稲造の書(複製)などの貴重な収蔵品もあり、各コレクションの奥深さも感じさせてくれます。
また同金庫本店(葛西萬司設計)コーナーもあり、モダニズム漂う歴史的建造物が現役で活用されていることに、改めて驚かされます。同館学芸員の渡邊薫さんは「同金庫の全面協力を得てお借りした作品。ぜひ、シニアの方々にも来館していただき、楽しんでもらいたいです。岸辺の花も見頃です」と話していました。アートと岸辺散策の両方を楽しんでは。