小説づくり

小説づくり

科学技術が面白い

一関工業高等専門学校特命教授 佐藤清忠さん

シニア世代の皆さんの中には、仕事を離れて余暇を楽しんでいらっしゃる方も多いことでしょう。時間の余裕がでてくると読書が楽しくなります。ネット上では無料で読める青空文庫などのサイトがありますし、文学作品を読み上げたり解説する動画サイトもあり便利な時代になりました。また生成AIで自作の小説が書けるようにもなっています。そこで今回は小説のつくり方を紹介します。

 

私はずっと工学分野を過ごしてきました。若い頃はカラマーゾフの兄弟などを読みましたが、本は処分し今は技術書だらけです。カラマーゾフの兄弟の中でイワンとアリョーシャという兄弟が「大審問官」で宗教談義をするのですが、あの結末はどうなったか、皆さん覚えていますか?そこでマナス(https://manus.im/)という生成AIサイトで科学と宗教の衝突を書いてみようと思い、以下のプロンプト文を入力しました。

 「浄土宗の考えが科学の概念でわかる小説を創作してください。理論物理を専攻する学生が、卒業後に縁があって浄土宗の修行僧になった。寺では浄土三部経を読む毎日で、世話になっている住職や仲間の僧とも仏教の話を交わすが、いまいち「信心」というのがわからない。理論物理の素粒子論では数式で示す宇宙観があり、これは数学との親和性があり、隅々まで理解できる。しかし極楽浄土とか阿弥陀仏の四十八願が、どういう親和性のつながりがあるのか、わからない。経典を読み毎日修行すればわかると仲間は言うが、自問自答を繰り返す毎日。結論はないが、このようすを小説にしてください。」

その結果、①の作品「極楽の数式」ができました。機械の書く作品なのでどうかなと思っていましたが、科学も宗教どちらも是認した結末にしていました。さらに物理学者だけでなく生物学者だったらどうなるか、いろいろ試してみました。

 

科学と宗教のように、考え方が対極になる関係をテーマにした小説はたくさんあります。例えば「ロミオとジュリエット」は、かたき同士でのラブストーリーです。これを参考に、エミシ対奈良朝廷を舞台にした小説も書いてみました。また、儒教とAIの考えによる指導方針の衝突テーマにした小説もできました。②の「学びの星」がその作品です。デジタル化が進む教育現場では参考になりそうです。

 

さて、無神論者のイワン・カラマーゾフは、弟で牧師のアリョーシャに宗教の無力を説きます。アリョーシャは論破せず、イワンをそっと抱いて宗教談義が終わります。ひょっとしたら生成AIはそのくだりを知っていたのでしょうか、①の結末もそんな雰囲気に向かいます。昔読んだ小説の続編のような作品になりました。皆さんも懐かしい小説で、その後がどうなったかを味わうために生成AIを使ってみてはと思いました。

注意:https://manus.im/は無料で使える高性能なサイトです。ただしある入力出力の量を超えると処理できなくなります。その時は数日間待つなど、使い方にコツがあります。またChatGPTやGeminiなどチャットボット生成AIサイトでも小説の創作ができますが、短編作品になりがちです。その場合は例えばhttps://claude.ai/のサイトで「小説を10000文字にし、こんな章立てと展開で・・・」と具体的に指示すれば、比較的長文の作品を創作してくれます。

付録

(1)①の「極楽の数式」をNotebookLMで音声概要にまとめました。概要を知るのに利用してください。

(2)カットイラストの例 (chatGPTによる画像生成)
できあがった小説にカットイラストが欲しい時も、AIが画像を生成してくれます。

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