本町通りにあるお寿司屋「ふじわら」が、「茶房ふじわら」という名で喫茶店をやっているのはご存知でしょうか。喫茶は月〜水曜日の日中のみで、夜はお寿司屋として営業中。黒い板張りの和風な建物が目印で、営業日には白い暖簾がかかります。

喫茶を担当するのは、藤原愛美（あいみ）さん。優しく柔らかい雰囲気の藤原さんですが、小さい頃は虫採りが好きでとてもやんちゃだったと言います。盛岡で生まれ育ち、高校では手に職をつけるため調理師免許を取得。卒業後は老舗喫茶店の機屋で10年勤めます。「機屋さんとは昔から家族ぐるみでお付き合いがあり、当時お店が猫の手も借りたいぐらい忙しいというので、働くことに決めました」。コーヒー豆の焙煎や淹れ方を習得しながら、藤原さんの得意なお菓子を提供することもあったとか。

その後、機屋店主の紹介で東京の老舗喫茶店で1年喫茶業の経験を積みます。経営のノウハウを身につけ自身のお店を持ちたいと盛岡に戻りますが、世はコロナウイルスが流行中。厳しい状況で先行きが見えないなか、2020年7月に喫茶店をオープンします。「コロナが終息するのを待つより、ゆっくりのんびりと自分のペースで始めていこうと決めました」と言います。

提供するコーヒーの豆は、藤原さんが手網でじっくりと焙煎しているそう。「焼き加減や抽出で自分の思い通りの味を表現できるようになり、お客様においしいと喜んでもらえるのが嬉しいですね」。おすすめのスイーツは手作りのチョコレートケーキ。柔らかな食感で口溶けが良く濃厚な味は、チョコレートが大好きだという藤原さんが試作を重ねてレシピを完成させたと言います。ほかにもキッシュや焼きおにぎりなど軽食が楽しめるのが魅力的です。「できる範囲で手作りすることを心掛けています。お客様においしいものとくつろぎの時間を提供したいです」と藤原さん。今年参加した盛岡珈琲フェスティバルでも大好評を遂げ、今後はお菓子のバリエーションをより増やしていきたいと意気込みます。

たまには和風でシックな店内でおいしいものをいただき、いつもと違う特別感を味わいながら気分転換してみるのもいいですよ。