取材協力:未完成
創業から60年以上続く喫茶店「未完成」。盛岡市肴町にアーケードが作られる前から今の場所でお客さんを迎え、時代と共に変化する街並みを見守ってきました。
店主の小笠原利美(としみ)さんは盛岡市出身。高校を卒業し会社員をしていましたが、父親から「未完成」を任せたいと声がかかり店で働くことに。「当時は喫茶店ブームで純喫茶が市内に何軒もあり、どの店も23時まで開けていて休みは月に1回ほどでした」と振り返ります。
ブームも落ち着いてくると客層が待ち合わせで来店する人から仕事の休憩時間に訪れる会社員に。ドリンクメニュー中心だったので、お客さんのニーズに合わせなくては時代に追いつけないと、食事メニューやスイーツを考案。どうしたらおいしく、見た目もきれいになるかなど試行錯誤を長年繰り返したと言います。今では約100種類まで増え、お気に入りメニューを楽しみに来る常連客や最近ではパフェを目当てに若いお客さんが訪れるようになったそう。店の雰囲気作りも欠かさず、好みの絵を飾るように。10年ほど前に自分の絵を飾ってほしいと友人から頼まれ飾ったのをきっかけに、絵を描く人の多さを知り「せっかくなら発表の場にしてもらえれば」と他の作家さんの絵も定期的に展示することに。寛ぎながらおいしいメニューを堪能できる店となりました。
若者に人気のフルーツパフェは季節の果物が中心で盛りだくさん「断面がきれいに見えるよう切り方を工夫しています」と彩り豊かで目を引きます。店名が付いている未完成パフェは黄桃、パイン、マロン、プルーンと他ではなかなか見ない果物で個性的。自家製ブルーベリーソースの甘酸っぱさと、優しい甘さのバニラアイスが相性抜群です。長年味を追求したブレンドコーヒーは酸味が少なめで苦さに深みがある味わい。「何度も淹れ方を研究した」とこだわりぬいた一杯はネルドリップで丁寧に淹れられ濃厚。どのメニューにもよく合います。
「人性は一生勉強」という父の言葉から生まれた「未完成」。おいしいもので迎えたいという小笠原さんの思いは未完成のままでしょう。
未完成
盛岡市中ノ橋通一丁目5-20
019-654-7879
※工事のため現在は休業中。プレオープンは来年1月の予定。営業日詳細はお電話を。