取材協力:ミズサキノート
奥州市の江刺稲瀬地区に広がる田園地帯。そんな意外な場所にあるのが、江刺産りんごを使った手づくりスイーツを楽しめるカフェ「ミズサキノート」です。
店主の及川由希子さんは、夫の健児さんと共に仙台市の広告制作会社にプランナーとして勤務していましたが、直接お客さまの顔が見られる仕事がしたいと考え退職。健児さんの「家具職人になりたい」という夢を応援するべく、育児をしながら将来を見据えたチャレンジを開始します。家具を展示するギャラリーはカフェの形にしたいとお菓子づくりを独学し、簿記の資格も取得。出店場所の検討も始めます。そんな時、健児さんの実家から体調不良で戻ってほしいとSOSが。
実家は江刺でりんご園を営んでいました。農家の暮らしを知らない由希子さんが楽しく暮らしていけるのか、2人は1年かけて検証し、悩みに悩んで移住を決断します。
しかし移住後、店を建てる資金の調達が難しく、さらにはひょうが降り、農園のりんごが全滅してしまう事態に。ですが2人はあきらめず、2年後に店を持つための方針を決めて行動しました。倉庫を借りて小さな家具をこつこつ作り、イベントに出店していずれ店を出すことをアピール。りんごをジュースに加工しオンライン販売したところ、ものすごくおいしいと反響があったそう。
こうして着実に歩みを進め、2010年に念願だった家具のギャラリーカフェをオープン。手づくりの家具が置かれた木のぬくもりを感じる店内では、自家製りんごや季節のフルーツを使ったメニューが楽しめます。口コミで評判も広がり、今では「りんご園のカフェ」として県内外はもちろん、海外からも来客があるとか。「いろんな人に支えてもらったので、今後はそれを返していきたい」と話す由希子さん。江刺の地に根を下ろしたお店は着実に実を結んでいます。