【足元から始まる国民病】2.「爪白癬」の 予防と治療

【足元から始まる国民病】2.「爪白癬」の 予防と治療

いわて医療通信
岩手医科大学 いわて医療通信

 前回、爪白癬について記載させていただきました。今回は、その予防と治療についてです。

 爪白癬を予防するためには、以下のような日々の工夫が大切です。

【足を清潔に保つ】
 毎日足を洗い、特に指の間や爪の周りをしっかり清潔にしましょう。ただし、ゴシゴシと強く洗わず、せっけんを泡立てて、優しく指の間を洗いましょう。洗った後はタオルなどでしっかり乾燥させることが重要です。足や爪が乾燥してガサガサしている場合は保湿クリームを塗るなど、スキンケアも大切ですので皮膚科医に相談しましょう。

【通気性の良い靴と 靴下を選ぶ】
 靴や靴下は湿気がこもりにくい素材を選びましょう。長時間同じ靴を履く場合は、適度に靴を脱いで通気性を確保することも大切です。

【公共施設での注意】
 温泉やプールなど、はだしで過ごす環境の床には他の人の足から剥がれた白癬菌を含んだ細かな皮膚が落ちており、それを踏んで、足の裏に付着したままにすると白癬菌が感染します。菌が皮膚にうつるまでには半日程度かかりますので、それまでに足を洗えば感染を防ぐことができます。

【家庭内での共有物に注意 】
 家族に足白癬や爪白癬の方がいる場合は、爪切りやスリッパを家族と共有するのは避けましょう。白癬菌は人から人へと簡単に感染するため、個人専用の道具を使うことが大切です。また、自分を含めた家族に足や爪白癬の患者がいる場合は、白癬菌を含んだ細かな皮膚成分が落ちているので、洗えるものは洗い、床などは清潔にしましょう。

【定期的に爪のケアを行う】
   爪を適度な長さに整え、爪の先端が皮膚に食い込まないようにすることで、感染リスクを減らせます。

 では爪白癬の治療法についてです。爪白癬は自然に治ることはほとんどなく、皮膚科医の診断と治療が必要です。治療方法には原則として抗真菌剤の内服療法が勧められます。しかし、肝臓障害など内臓機能が思わしくない患者さんや、爪の表面の一部だけが濁っているタイプの爪白癬には外用抗真菌剤(塗り薬)で治療することもあります。

 以上のように、爪白癬は高齢者を中心に非常に一般的な病気であり、その病気の割合の高さから「国民病」ともいわれるほどです。足元の健康を守ることは、全身の健康を守ることにつながります。早期の予防と治療を心がけ、もし爪や足に異常を感じたら、ためらわずに皮膚科を受診してください。

 大切な足元の健康を守り、快適な毎日を過ごしましょう。 

岩手医科大学
皮膚科

井上 剛

■取材協力

岩手医科大学 >>

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