盛岡市の千葉節子さん(69)は、予約制理容店“2階の床屋”の店名で営業しながら、病院や老人ホームなどに訪問し、理容サービスを行っている理容師。その一方、白山吟詠会を主宰し、詩吟の普及啓蒙にも努めている二刀流シニアです。「30年ほど前、岩手詩吟会会長が来店。髪を切りながら詩吟の話を聞いたらわくわくしてきたので、すぐに習い始めました」と当時を振り返ります。以来、複式呼吸での体幹鍛錬、盛岡城跡公園での早朝の発声練習、詩の暗譜などを欠かさず、詩吟の道に精進し指導する域にまで上達。日本コロムビア吟詠コンクールで優勝する快挙を成し遂げました。「いろいろ大変なこともありましたけど、続けてきてよかった。うれしかった」と千葉さん。会員は、誤嚥を治すために入会した92歳のシニアも含め20人ほどに。老人ホームなどでの慰問活動や肴町での詩吟、保健委員としての活動など、地域貢献にも力を入れ、宮沢賢治や島崎藤村の詩を感情をこめて吟じています。「ベッドで寝ていたご老人が、吟じ始めたら身を乗り出して聴いてくれたことがあり、少しは役に立っているのかと感激しました。シニアの方にはぜひ、詩吟を通じて日本文化を味わい、健康も維持してもらいたい。古希になっても地域のために」と語っており、活動はさらにヒートアップしそうです。