取材協力:CAFE 1368
盛岡市肴町アーケードの南側。十三日町と呼ばれていたこのエリアで「CAFE 1368」が毎週土・日・月曜日の3日間だけひっそりとオープン。小さな町屋の雰囲気で入ると軽快なジャズの音色が出迎えてくれます。
着物と割烹着姿が印象的な店主の鈴木千惠子さん。盛岡市出身で学生時代を地元で過ごし東京で働くために上京。外資系の会社でマーケティングの仕事をします。しかし4年後、家の都合で帰郷することに。「盛岡に戻るとジャズ喫茶がはやっていて、友達に誘われて行ってみることにしました。そこで初めてジャズを聞いて、今まで聞いたことがない音楽で衝撃的でした」と今でも忘れられないと言います。ジャズの虜になった鈴木さんはお気に入りのジャズ喫茶を見つけ足繁く通うように。そして常連だった旦那さまと出会います。通ううちに旦那さまや他の常連客とライブを企画することになり、仕事後みんなで集まるように。何度か集まるうちに好みが似ていた二人は自然と惹かれあい結婚。その後、お子さんにも恵まれます。
結婚後も仕事をし、育児と家事もこなす忙しい日々を過ごしていた鈴木さんですが息子さんが東京へ就職することになり、自分を見つめ直したと言います。「年を取ったときに何かしたいと思い起業セミナーに参加しました。最初は何をしたらいいのかわからなかったのですが、何ができるのか、何をしたいのか考えたらジャズ喫茶での思い出が蘇り、自分好みのコーヒーが出せる喫茶店をやりたいと思いました」と”私の夢ノート”に思いを書いていき自分の喫茶店という夢を見つけた鈴木さん。家の事情や仕事の都合ですぐに実現できませんでしたが、その間もノートにお店の構想を書き続け昨年の2月、13年間の思いを実らせ念願の喫茶店をオープンさせました。
店内は2、3人ほどが落ち着いて過ごせるほどの広さ。おすすめのメニューは半熟卵が乗ったトーストで外はカリッと香ばしく中はもちっとしたトーストと卵のまろやかさが優しい味を醸し出し、程よい苦さのすっきりとしたコーヒーとよく合います。ジャズを聴きながらゆっくりと一息つきに行ってみませんか。