取材協力:蔵カフェ
盛岡市三本柳にある築100年の大きな蔵。喫茶店として地元の人に惜しまれながらも閉店したこの蔵が今年1月、就労支援を行うファーム仁王により「蔵カフェ」としてオープンしました。
「蔵の天井や柱から歴史を感じ素敵な店だと思い引き受けました」とサービス管理責任者の大吹剛さん。ファーム仁王の立ち上げ時から携わり、コーヒー好きの代表のアイデアで始まったカフェ事業に長年従事。利用者さんに優しく寄り添いながら、オープンした各店のメニューのクオリティーを高いものにしたいと邁進してきました。しかし新型コロナウイルスの影響で客足が減少、新しいことを始めなくてはと考えます。「この蔵の前の店主さんとつながりがあり、蔵で喫茶店をやらないかと話をもらいました。歴史を感じる蔵で、店主さんの熱心な思いも素敵に感じたので引き受けることにしました。始めたばかりの農業の事業もあり大変でしたが、自分たちの新しい店として生まれ変わらせたいとみんな張り切って準備を進めました」と振り返ります。蔵は閉店して数年経っており整備が必要でした。前の店の魅力を残したいとカウンターや内装などは生かしつつみんなが働きやすい環境にしなくてはと限られた時間のなかで整備を進めていき、やっとの思いで開店の日を迎えます。「地元の方からまた気軽に寄れる店ができて嬉しいや食事メニューがおいしいと言ってもらえて私たちも喜んでいます」と現場担当職員の小笠原さん。県産食材にこだわった人気の食事メニューが味わえるのは運営する数店のなかでも蔵カフェと限られた店舗のみ。地元の皆さんが食事とコーヒーと楽しみながら団らんしているそう。ずっと眠っていた蔵が憩いの場として新たな歴史を刻み始めました。
スイーツも絶品でエスプレッソショコラケーキは、ファーム仁王で焙煎されたコーヒー豆を使い、優しい甘さのなかにあるほろ苦さが大人の味を感じる一品。不良豆を取り除く作業を2回行った豆で淹れるクリアな味わいのコーヒーとよく合います。蔵の歴史を感じながら味わう一杯は格別です。