再び灯った店主の情熱【キッチンアンドアトリエ 手から手へ】

再び灯った店主の情熱【キッチンアンドアトリエ 手から手へ】

キッチンアンドアトリエ 手から手へ

取材協力:キッチンアンドアトリエ 手から手へ

 盛岡市紅葉が丘の住宅街にある「キッチンアンドアトリエ手から手へ」は、古民家を改装したアートが楽しめるカフェです。

 店主の前野隆彦さんは釜石市出身で、釜石市民に愛された洋食店「ポートまえの」を営んでいました。しかし東日本大震災で店舗兼自宅が被災。家族と共に親戚のいる盛岡へ移り住みます。その後、福祉事業所や老人ホームで調理の仕事をしていた前野さん。ある時、地元新聞社から企画の依頼が届きます。「1日だけ、ポートまえのを復活させて思い出の味を振る舞うという企画でした。被災地の皆さんから、ポートまえのの料理がまた食べたいという声が多かったそうで、本当に嬉しかったです。皆さんが喜んでくれる姿を見て『もう一度お店をやりたい』と気持ちに火がつきました」と振り返りますが、今の生活を考えると決断できなかったと言います。

 しかし数年後、転機が訪れます。「友人から空き家を使わないかと声をかけられました。夫に店をやらせてあげたいという気持ちがずっとあって、これはチャンスと思い即決しました」と妻のいずみさん。突然のことで驚いた前野さんですが、いずみさんの言葉で腹を括ったと言います。そして2人は起業セミナーへ。開店の計画を立てながら必要なものを揃えていき、少しずつ準備を進めました。店の改装はアートが好きないずみさんが中心となり、自身の絵も飾れるようにと2階は絵画を鑑賞できる席にしたそう。そして今年7月、店をオープンさせました。

 店ではポートまえのの人気メニュー、ハンバーグピラフが提供されており、塩麹やタマネギ麹を使い素材のうま味を引き出しています。体に優しい食材を使って丁寧に調理することが前野さんのこだわりだそう。いずみさんが入れるコーヒーも豆にこだわり、アイスとホットで別店舗から仕入れているとか。スッキリとした味わいで料理とよく合います。

 手間暇かけたこだわりメニューを、癒やしの空間で味わってみてはいかがでしょうか。

「手から手へ」という店名は2人の好きな本のタイトルから
キッチンアンドアトリエ 手から手へ
釜石市からハンバーグピラフを食べに足を運ぶ人もいるとか
お店について

キッチンアンドアトリエ
手から手へ

盛岡市紅葉が丘12−48

090-2972-8268

※工事のため現在は休業中。プレオープンは来年1月の予定。営業日詳細はお電話を。

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