女性に多い鉄欠乏性貧血 ―一緒に取る栄養素で鉄の吸収率アップ―

女性に多い鉄欠乏性貧血 ―一緒に取る栄養素で鉄の吸収率アップ―

健康食
正しい知識で食べて元気に 健康食
管理栄養士 菊池洋子さん

 血液中の鉄分が不足して起こる鉄欠乏性貧血。多くの日本人女性は鉄分の摂取量が不足しており、特に月経のある20〜50代の女性は推奨量の6〜7割に留まっています。一方、日本人は鉄分の多くを吸収率の悪い非ヘム鉄で摂取していますが、非ヘム鉄は一緒に取る栄養素で吸収率がアップします。今回は鉄欠乏性貧血を取り上げたいと思います。

貧血とは

 貧血とは、赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)濃度が低下した状態です(女性は11g/dl以下、男性は13g/dl以下)。

 ヘモグロビンは、鉄(ヘム)という色素と、タンパク質(グロビン)が結びついたもので、酸素を全身に運ぶ役割を担っています。しかし、体内に含まれる鉄の量が減るとヘモグロビンも減り、酸素を全身に運ぶことができなくなり、疲れやすい、頭痛、息切れなどの症状が出てくるようになります。

日本人の多くの女性は鉄分が不足

 女性に鉄欠乏性貧血が多い理由に、月経による出血、食の簡素化、偏食、朝食の欠食などがあげられます。月経のある20〜50代の女性の一日の鉄分の摂取目標量(推奨量)は、10.5〜11.0mgですが、実際は6.8〜7.3mgと6〜7割程度に留まっています。毎日の食事でしっかり鉄分を取ることが必要です。

ヘム鉄と非ヘム鉄

 鉄分が多い食品で有名なレバーの鉄は「ヘム鉄(2価鉄)」、ほうれん草の鉄は「非ヘム鉄(3価鉄)」です。

 ヘム鉄は、そのままの形で吸収でき、吸収率が20〜30%。非ヘム鉄は、胃で3価鉄から2価鉄に還元されてから吸収され、吸収率が5%。日本人は鉄分の多くを、この非ヘム鉄で取っているとされ、吸収率を上げる栄養素を一緒に取ることが大切です。

ヘム鉄の多い食品

 ヘム鉄を多く含む豚レバー。50gで月経のない女性の推奨量6.5mgが取れます。惣菜のレバニラなどを利用するのも一案です。鰹や鯖、サンマ、魚の血合い、あさり缶、かき、ホタテなどにも多く含まれます。

ビタミンC、タンパク質で非ヘム鉄の吸収率アップ

 非ヘム鉄は、納豆、厚揚げ、豆乳などの大豆製品、ほうれん草、小松菜、水菜などの野菜、そして卵などに含まれます。

 非ヘム鉄は、還元作用のあるビタミンCの多い野菜(ピーマン、ブロッコリー、ジャガイモなど)や果物(キウイ、柿、イチゴ、みかんなど)を組み合わせて食べると吸収率がアップします。肉や魚のタンパク質も、吸収率の良いヘム鉄を含むだけでなく、非ヘム鉄の吸収率もアップさせます。

 また、胃酸には鉄の吸収を良くする働きがありますのでゆっくりとよく噛んで食べましょう。胃酸の分泌を促す酢、香辛料、梅干しなども適量取ることをお薦めします。

この記事をシェアする

Facebook
Twitter