「天然の完全食」とも言われる玄米。日本人に不足しがちな食物繊維やビタミンB群、マグネシウムなどを多く含み、健康に良いとわかっていても、日常的に取り入れるのは…という方もいると思います。しかし、最近の研究で玄米に含まれるγ(ガンマ)オリザノールが血糖コントロールに役立つこともわかり、病院食に取り入れている所もあります。今回は玄米の良さを改めて見てみたいと思います。
● 糠に栄養素の90%
玄米は、稲の実である籾(もみ)から、籾殻のみを取り除いたもの。これに対して、精白米は玄米から糠(ぬか)と胚芽を取り除き、胚乳のみの状態にしたものです。“糠”という字は、米に健康の康を書いて糠ですが、この糠にこそ栄養素の90%以上が含まれています。γオリザノールも糠に含まれる特有成分の1つです。
● γオリザノールに、血糖コントロール作用
そのγオリザノールは、1953年日本の研究者によって米糠油から発見されました。オリザはラテン語で稲・米という意味です。
2012年、琉球大学の研究チームは玄米に含まれるγオリザノールにはすい臓でインスリンを分泌するβ細胞に働きかけ、血糖値を改善する効果があると明らかにしました。また脳の中枢に作用し過食を抑えたり、腸内の善玉菌を増やして腸内細菌のバランスも改善することを報告しています。
聖マリアンナ医科大学は、「もち米の玄米」を糖尿病患者に使用した研究報告をしています。糖尿病患者16人を無作為に「もち米の玄米」と「精白米」を食べるグループに分け、8週間摂取してもらったところ、「もち米の玄米」を摂取したグループはHbA1c※が7.5%から7.2%に、食後30分の血糖値は193・8mg/dlから172・3mg/dl、インスリン分泌程度を示すCペプチドも改善したとしています。また、別の研究では「もち米の玄米」は24時間の日内血糖変動も改善したと報告しています。
※ 過去1〜2カ月の平均血糖値
● 「もち米の玄米」は食べやすい
玄米を「もち米の玄米」にすると食感、臭いなどの問題が解決されます。“うるち米"と“もち米”の違いは“アミロース”と“アミロペクチン”という2つのデンプン量の差です。うるち米はアミロースとアミロペクチンの割合が2対8、もち米はアミロペクチンのみです。
もち米の玄米を食べ始めて4年くらいですが、プチプチ、もっちり感があり噛むことでうま味、甘味が増します。
● もち米の玄米は2時間以上浸水して
もち米の玄米は米穀店かネットで購入できます。もち米の玄米は炊飯器で炊くことが可能で、2時間以上浸水し“おこわ”の目盛りに合わせて炊きます。
● もち米玄米の栄養
もち米の玄米4合を炊き10等分にすると、1食分のエネルギー212kcal、タンパク質4.1g、炭水化物44.6g、食物繊維1.8g、ビタミンB1 0.25g、マグネシウム66mg、カリウム138mg、リン174mgです。なお、腎機能の低下が見られる方は玄米は精白米に比べるとカリウム、リンがグンと多くなります。使用の際はかかりつけの医師・管理栄養士に相談しましょう。