【超高齢化社会を支えるお仕事】3.認知症を理解しよう

【超高齢化社会を支えるお仕事】3.認知症を理解しよう

いわて医療通信
岩手医科大学 いわて医療通信

 皆さんは認知症といわれて何を連想されるでしょうか。認知症の原因として最多のアルツハイマー病はとても有名な病気ですね。物忘れで始まり、やがて、仕事や家事など普段やってきたことでミスが増える、お金の勘定ができなくなる、慣れた道で迷う、話が通じなくなる、といった症状が明らかになってきます。ですが、認知症がすなわちアルツハイマー病というわけではありません。

 認知症は脳の神経細胞が壊れて(変性)、脳が病的に縮んでゆく(萎縮)過程でおきます。つまり進行性の脳神経疾患が原因となって発症するのが認知症です。他にも原因として、最近はレヴィー小体型認知症(三大認知症の一つで認知機能が良いときと悪いときが波のように変化します)が増加傾向にあり、研究報告によってはアルツハイマー病の次に多いともいわれて注目されています。アルツハイマー病と症状や経過は似ていますが、パーキンソン病に似た運動障害や幻視などを伴うことが特徴です。 

 一方、日本では脳梗塞や脳出血などの脳卒中が契機となって発症する血管性認知症がアルツハイマー病の次に多いとされます。さまざまな脳の病気により認知症は起こりうるのです。

 認知症の患者数はとても多く、2020年時点で65歳以上の5人に1人が認知症とされ、予備軍とされる軽度認知機能障害(MCI)を含めると約600万人、2025年には約700万人にも及ぶとの推計も発表されています。

 超高齢化社会の渦中にある日本では、現在もこれからも、おそらく医療上の最大の問題となる病気が認知症でしょう。患者数がとても多いことから、脳神経内科医が関わる重要な病気の一つと言えます。認知症を一言で言うと、脳の病気や障害などが原因となり、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態が半年以上にわたって続いている状態にあることとなります。国、行政をも巻き込んで、日本だけでなく世界的にも診断や治療の進歩が切望されている病気です。 今後、ますます認知症診療の重要性が高まることは間違いないでしょう。

 岩手医科大学脳神経内科・老年科では、岩手県からの委託を受けて、岩手県基幹型認知症疾患医療センターを開設しています。受診の相談はウェブサイトをご参照ください。

 内丸メディカルセンターは、紹介状の有無に関わらず受診が可能です。

岩手医科大学
脳神経内科・老年科

前田哲也

■取材協力

岩手医科大学 >>

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