最近はスーパーでも見かけるようになったヤーコン。ヤーコンに含まれるさまざまな機能性成分が注目されるようになり、5月中旬、我が家も初めてトマトの苗と一緒にヤーコン1本を植えてみました。10月下旬、2メートル弱の背丈に、菊の花に似た小さな花をつけ、15個ほどの芋(塊根)を収穫。今回はヤーコンの栄養の魅力を取り上げたいと思います。
アンデス生まれのヤーコン
ヤーコンは南米アンデス高地原産のキク科の根菜。草丈は1〜2mにもなり、芋(塊根)と茎は食用として、葉はヤーコン茶としても飲用されています。アンデス山脈一帯では、インカ帝国の昔から果物のような野菜として親しまれてきました。
ヤーコンが日本に初めて入って来たのは1970年代。しかし、その当時は定着せず、1985年にニュージーランドから入って来たものが各地に広まりました。
フラクトオリゴ糖量 野菜の中で1番
形状がサツマイモそっくりのヤーコンですが、似て非なりです。サツマイモの糖質はでんぷんですが、ヤーコンはでんぷんを含まず、収穫直後はフラクトオリゴ糖が90%を占めています。
フラクトオリゴ糖とは、蔗糖(砂糖)に、果糖が2〜9個結びついたもの。オリゴ糖は難消化性のため消化されずに腸に届き、ビフィズス菌の餌となってビフィズス菌を増やし、腸内細菌叢(そう)のバランスを保つ働きがあります。その他、虫歯の予防やミネラルの吸収促進などの機能があります。
ポリフェノール、カリウム量も多い
ヤーコンの皮を剝いて切ると黒っぽく褐変します。これはコーヒーやゴボウにも含まれるポリフェノールのクロロゲンのためです。ビタミンC、ビタミンEと同様、抗酸化作用があります。また、クロロゲンには、内臓脂肪低減効果、血圧改善効果などの報告もあります。
カリウム量は100g中240mg。野菜の中ではカリウムの多い食品です。カリウムはナトリウムの排泄を促し、血圧降下作用があります。
調理に際して
黒ずんで見た目が気になる場合は水や酢水につけてアク抜きをしましょう。ただし、つけ過ぎるとクロロゲンやカリウムは水溶性のため減少します。
ヤーコンは収穫して数週間すると甘味が増してきます。これはフラクトオリゴ糖が酵素で分解されることで、フラクトオリゴ糖が減り、果糖(天然糖の中で一番甘い)、ブドウ糖、蔗糖の量が増えるためです。サラダなど生で食べる時は収穫したばかりのものより、数週間経過したものの方が甘くお薦めです。
保存は新聞紙にくるんで
ヤーコンの表面が柔らかくなるのは乾燥して水分が抜けるためです。保存は乾燥を防ぐため新聞紙にくるみ、常温で保存しましょう。
私が初めてヤーコンを食べたのは20年程前。患者さんが自分の畑で植えた物でした。その時は、甘さに違和感があり、あまりおいしいと思えなかったのですが、今や、我が家の常備菜になりました。あなたも食べてみませんか。