食物繊維で腸活 ―腸内細菌のエサ・高発酵性食物繊維―

食物繊維で腸活 ―腸内細菌のエサ・高発酵性食物繊維―

健康食
正しい知識で食べて元気に 健康食
管理栄養士 菊池洋子さん

 人の消化酵素で消化できない食物繊維。腸内細菌のエサとなり、腸内環境を改善しお腹の調子を整えることはもちろん、免疫力の向上、血糖値の上昇抑制、血中コレステロール、血圧の改善、肥満予防など、数多くの効果が報告されています。しかし、日本人の食物繊維摂取量は十分とは言えません。一方、最近は“高発酵性食物繊維”という言葉も目にするようになりました。今回は食物繊維を取り上げたいと思います。

● 日本人の食物繊維摂取量は少ない

 日本人の食物繊維の摂取量(20歳以上の平均)は男性19.4g/日、女性17.5g/日です(令和元年国民栄養調査)。食物繊維の摂取目標量が、男性21g/日以上、女性18g/日以上のため、一見、目標量に近い摂取と思いがちですが、日本人は食物繊維の摂取量が少ない状態にあるため、この目標量は当面の暫定値です。

 ちなみに、欧米の食物繊維摂取目標量は24g/日以上。食物繊維や発酵食品の重要性を理解し、積極的に摂取している人が増えているようです。

● 善玉菌のエサになりやすい高発酵性食物繊維

 その食物繊維、腸内細菌による発酵性に違いがあり、高い発酵力がある食物繊維を「高発酵性食物繊維」と言います。高発酵性食物繊維は、善玉菌(ビフィズス菌、乳酸菌、酪酸菌など)のエサになりやすく、短鎖脂肪酸(酪酸、酢酸、プロピオン酸など)を作り出します。短鎖脂肪酸は、①腸内を弱酸性に傾け悪玉菌の増殖を抑える。②大腸の蠕動運動を促進する。③腸のバリア機能を高める。④大腸のエネルギー源となる。⑤痩せ体質に導く、などの働きをします。なかでも酪酸菌が作り出す酪酸は大腸のエネルギー源の80%を占めるので、大腸を活発に動かすには、自身の腸内にある酪酸菌を育て、増やすことが大切になります。

● 玄米に変えてみませんか

 酪酸菌を自身の腸内で増やす方法として、まずお薦めしたいのが主食を高発酵性食物繊維が多い玄米(うるち米・もち米)、雑穀(もち麦など)入りに切り替えることです。主食でしっかり食物繊維を取らないことには、不足する食物繊維を補うことは難しいからです。

● 代表的な高発酵性食物繊維

 一般に水溶性食物繊維は発酵性が高く、腸内細菌のエサになりやすい高発酵性食物繊維で、もち麦のβ-グルカン、キウイなど果物のペクチン、ゴボウ、ラッキョウなどのイヌリン、海藻などのアルギン酸、フコイダンなどです。不溶性食物繊維では、玄米、全粒小麦、ライムギ、オーツ麦、トウモロコシなどに含まれるヘミセルロース(アラビノキシランが主成分)など。レジタントスターチ(難消化性デンプン)も発酵性が高く、長芋トロロ、冷えたごはん(おにぎり)、ポテトサラダ、冷やし焼き芋などもお薦めです。

 また、大豆に含まれる大豆オリゴ糖、野菜(タマネギ、にんにく、ブロッコリーなど)、果物(バナナなど)ハチミツなどに含まれるフラクトオリゴ糖も腸内細菌のエサになりやすいです。

 皆さんは腸活、もう始めていましたか。

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