取材協力:カフェ・カムオン
高松の池のそばにあるカフェ・カムオンには、この地を訪れるさまざまな人が集います。テラスに面した開放的な窓から日が差し込む店内には、今日もランチを楽しむ女性や喉を潤すシニアの姿が。店長の本舘弘子さんは千葉県出身。看護を学んでいた大学生時代に東京でご主人と出会い、結婚を機に盛岡へ移住しました。
転居後、飲食店を経営する夢があったご主人が高松の国道添いに喫茶店「ピラミッド」をオープン。いきなり見知らぬ土地で経営を手伝うことになり、最初は不安だらけだったとか。「当時は喫茶店ブームの追い風もあり、ひたすら忙しく働きました。趣味のサークルが発足するほどお客さま同士の交流が盛んで、いろんな人と知り合える楽しさがありました」と本舘さん。しかしピラミッドは道路拡張のため閉店。一旦飲食業から離れた本舘さんですが、次第に気軽に集える憩いの場を作りたいという思いが高じます。
そんな時、大好きな高松の池のそばに土地が空き、カフェをやりたいという娘さんの希望もあったことから、2005年に家族でカフェ・カムオンをオープンしました。
明るい本舘さんのおかげか声を届けやすい雰囲気が特徴のお店では、メニューもお客さまと試行錯誤し作り上げました。ベーグルはシニア層の意見を取り入れ改良を重ねた結果、もっちりとした食感を残しながらも食べやすい人気メニューに。希望を聞くうちに、品数も「少し減らしたら」と言われるまで増えたそう。
また、地域の人たちとお店の交流が深まり、子ども食堂、音楽イベント、クラフト市などの取り組みも実現しています。「みんなで集まって、あんなことをやりたいね、と話すうちに形になりました」と笑う本舘さん。その実行力の根底にあるのは高松への愛着です。かつてにぎわっていた高松界隈をもう一度盛り上げたいという強い思いが人とのつながりを生み、地域活性の原動力となっています。これからも高松の憩いの場として長く親しまれることでしょう。