塩分制限の実際③ ―家庭でできる減塩のコツ―

塩分制限の実際③ ―家庭でできる減塩のコツ―

健康食
正しい知識で食べて元気に 健康食
管理栄養士 菊池洋子さん

 慢性腎不全の予防や食事療法で大切な塩分制限の実際について、①基本的な調味料の塩分、②加工食品・外食の塩分と減塩の工夫を取り上げてきました。今回は家庭でできる減塩のコツを紹介したいと思います。

● メリハリのある塩分の使い方

 減塩と言うと、味気ない、おいしくないというイメージがありますが、メリハリのある塩分の使い方でおいしく食べられます。

 汁ものがおいしいと感じる塩分濃度は、体内のナトリウム濃度に近い0.8%とされていますが、肉や魚料理は、少し高い1%、サラダや酢の物は0.3%というように、メリハリをつけた塩分の使い方をすると、減塩でもおいしく食べられます。

 鶏唐揚げ(肉400g)を作る場合の塩分は、塩味なら塩を4g、しょうゆ味なら、しょうゆを25‌cc使うと(しょうゆの塩分濃度17%なので、17%×25‌cc=塩分4.3g)、塩分1%の唐揚げになります。

● 香味野菜や香辛料をしっかり使う

 肉・魚料理には、ニンニク、根ショウガ、香辛料などをしっかり使うことで減塩効果が高まります。先の鶏唐揚げにも、すりおろし根ショウガ、ニンニクをたっぷり入れ、もみ込むと香りや辛味が減塩をカバーしてくれます。また、食べるときに、青じそ、刻みネギ・ミョウガなどを添えて食べるのもお勧めです。

● 酢の酸味で減塩効果

 食酢を隠し味程度に入れるだけでも、塩味は実際よりも強く感じるという研究報告があります。酢を小型のプッシュボトルに入れ、焼き魚や唐揚げ、野菜スープにも2〜3回プッシュすることで、塩味の物足りなさを補い、おいしく減塩できます。レモン果汁などでもよいです。

● 時には、本格的にだしをとって

 花かつおや昆布、煮干しなどで本格的にだしをとると、顆粒だしとは全く違った旨味・香りが感じられ減塩料理をおいしく仕上げます。時間に余裕がある時は、本格的にだしをとって、みそ汁、炒り煮、煮物などを作ってみましょう。

 便利な顆粒の和風だし・中華だし・コンソメの素などは、使用量の約半分量が"塩"(例:コンソメ1個5.3g⇒塩分2.5、和風だしの素3g⇒塩分1g)ですので、使い過ぎには注意しましょう。

● 減塩しょうゆパックの使用

 塩分の7割は調味料から取っていますが、そのうち20%はしょうゆとされています。焼き魚、刺身、お浸しなどのつけしょうゆを減塩しょうゆパック(5cc入り・塩分0.5g)に変えれば減塩生活をサポートしてくれます。塩分量が明確になっているので安心して使用できます。

● 塩分を減らし、 十分なカリウムの摂取

 減塩対策では塩分の排泄を促すカリウムを十分に取ることも大切です。カリウムはほどんどの食品に含まれていますが肉や魚などのタンパク質食品の料理には約1%の塩分を必要とするので、野菜や海藻、果物、ナッツ(無塩)、牛乳やヨーグルトなどでカリウムを十分に摂取しましょう。

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